
30年にわたって上昇トレンドを続ける米国株。その米国株市場を代表する株式インデックス「S&P500」への投資が人気を集めている。農林中金バリューインベストメンツ最高投資責任者の奥野一成氏は「日本株に連動したTOPIXインデックスに比べはるかに運用成績は良い。だが、世界最強のS&P500への投資にも弱点がある」という――。 【図表】日米インデックスの長期的趨勢(1988年12月~2020年12月) ■最強インデックスS&P500の弱点 前回、「サラリーマン投資家に大人気『インデックス投資』の見過ごされたリスク」で、長期投資においては、パッシブ投資なのかアクティブ投資なのか、という軸よりも、ポートフォリオ内に入っている企業が長期的に企業価値を増大できるのか否かということの方が、根本的に重要であることを述べました。 インデックスの決定方法の違いから、米国の代表的な株式インデックスであるS&P500インデックスと日本のインデックスであるTOPIXでは、中に入っている企業が、まさに「メジャーリーガー」対「草野球の選手や往年の名プレーヤーも含めた混成チーム」ほどの違いがあることを説明しました。 1988年12月末を起点にリターンを比較すると、TOPIXが0.8倍だったのに対し、S&P500インデックスが13倍なりました(図表1)。この結果からも、長期投資において、どのインデックスに投資するかが非常に重要になるのです。 とはいえ、メジャーリーガー級の銘柄が組み込まれている世界最強のインデックスS&P500であっても、見過ごせないリスクがあります。今回は、サラリーマン投資家にぜひ知っておいてほしい、S&P500インデックスの弱点を紹介します。
■日本人に長期投資が根付かなかった根本原因 日本銀行の統計によると、米国民の金融資産の約4割が株式で運用されているのに対して、日本国民のそれは、10%程度と推定されています。これをもって、よく「米国の国民はフィナンシャルリテラシーが高いので株式投資の比率が高いのだ」という人がいますが、これは単なる偶然で、米国民はラッキーだったのだと思います。 米国は企業価値を増大できるような企業が、生き残りをかけてしのぎを削るような市場なので、米国株式およびそのインデックスに機械的に投資しているだけで、結果的に「長期投資の成功体験」を積むことができたのでしょう。 それに対して、残念ながら日本の場合は、株式市場のダイナミズム(新陳代謝)が欠如しており、競争力を失っても市場から退出せず居残るため、そういった企業の総体としてのインデックスも趨勢的に上昇できなかったと考えています。その結果、日本の株式市場は常に中短期的な需給に大きな影響を受けて上がったり下がったりするレンジ内取引に終始することになってしまいました。 このような市場では、「上がったら売って、下がったら買う」というトレーディングこそが株式投資だというスタイルだけが生き残り、長期投資が根付かなったのもうなずけます。 ■「今からでも遅くない」 そのような「賭場」のような市場では、長期投資の成功体験を積むことなど有り得ず、どれだけ政府が旗を振っても株式市場に個人のお金が流入せず、今でも半分以上が何も生まない銀行預金にとどまっているのです。 右肩上がりに上がらない株式市場に日本国民の大事な預金が流れ込まなかったことはもしかしたら「不幸中の幸い」だったのかもしれません。ただ、このような未成熟な株式市場と「眠ったままの金融資産(預金)」という構造が、90年代後半以降の数十年間における日本のGDP成長の低迷の原因の一つとなったことは間違いありません。 この間、米国のGDPと差がつくばかりか、中国にも抜かれ、一人当たりGDPではついに25位に落ちてしまいました。仮に個人金融資産1900兆円のうち銀行預金に眠っている1000兆円の半分500兆円を1%程度で運用できるなら、まさにGDPを1%押し上げることができるのです。 この30年間、米国株インデックスが年率7%以上のリターンを上げてきたことを考えれば、決して無理なことを言っているわけではありません。株式投資には国境などないのだから、日本株インデックスにこだわることなく、米国株インデックスに投資することで、世界の成長を楽しむこともできたはずです。後の祭りともいえますが、今からでも遅くないと思います。
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