
今回は資金純流出入額ランキングから個人投資家に人気のある公募投資信託を探ってみた。資金純流出入額とはある期間における設定額から解約額を引いた金額のことで、投資家の人気のバロメーターとされる。
インデックス型が上位独占
2023年2月末時点の過去1年間の資金純流出入額ランキングは下表の通り。上位4位までを海外株式を対象としたインデックス型投信が独占した。4本はつみたてNISAの対象商品でもある。資産形成の基本である長期・積み立て・分散投資が投資家の間に根付き始めている証しと取ることもできるだろう。政府の「資産所得倍増プラン」の後押しもあり、インデックス投資は今後も投資家の支持を集め続けるとみられる。

ところでインデックス投資に死角はないのだろうか。実はこれまで長く続いた世界的な金融緩和と緩やかなインフレという経済状況は、インデックス投資にとっては追い風だったのだ。しかし、企業の事業環境は大きく変わりつつある。これからは企業間の優勝劣敗がより鮮明になっていく可能性が高い。
だとすれば全体に投資するだけでなく、アクティブ型投信を組み合わせた方がリターンの向上が期待できるだろう。どんな商品を組み合わせるかだが、資金純流出入額ランキング上位のアクティブ型投信も有力候補になる。ここから「定量投信レーティング」を参考に選んでみてはいかがだろうか。

このレーティングはR&Iが算出し、日経電子版などで公表している。5段階で5が最高評価。評価の一般的な指標であるシャープレシオ(リスクとリターンの比)を用いて、同種の運用商品(投信分類)の中で相対評価している。
なお、アクティブ型投信を組み合わせる場合でも、運用資産全体としては特定の運用スタイルや投資テーマ、運用者に偏ることなく、分散を意識することが肝心だ。
アクティブ型の1位は成長株投信
資金純流出入額ランキングの5位、アクティブ型ではトップは「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」。この投信はR&I分類では「北米株グロース型(ノーヘッジ)」に属し、3年レーティングが5と、上位10%の優秀な成績を残している。グロース株に投資する運用だが、情報技術関連は4割程度で、ディフェンシブ銘柄といわれるヘルスケア・生活必需品関連が3割を占めている。
アクティブ型の2位は「インベスコ 世界厳選株式オープン〈為替ヘッジなし〉(毎月決算型)」。R&I分類では「国際株バリュー型(ノーヘッジ)」で、3年レーティングが3と標準的な評価だが、1年レーティングは5と直近評価は高い。成長、配当、割安に着目して探した銘柄群に投資している。
投資信託を選ぶ時のポイントには騰落率や資金の流出入額など、様々な視点がある。この連載では、投信のプロが旬のジャンルをピックアップして最適な項目でランキング化。上位に入る注目の投信を解説する。
(格付投資情報センター 田中翔平)
[日経マネー2023年6月号の記事を再構成]
からの記事と詳細 ( 海外インデックス型が人気 アクティブ型併用に妙味も - 日本経済新聞 )
https://ift.tt/XfGM6FC
No comments:
Post a Comment